市谷柳町交差点

東京、新宿区、市ヶ谷柳町交差点。
ここは丘陵に挟まれた谷間にあって、交差点でふかす車の排気ガスが滞留しやすい場所である。

1970年に光化学スモッグ、カドミウム汚染など日本の各地で土地、水、大気の汚染が騒がれ出した時に鉛汚染が顕在化し全国的にも知られるところとなった。現在は交差点に車が溜まらないように信号位置の変更を行なったり、車の排気ガス対策の向上などもあって目立った汚染の報告はなくなったが、未だに後遺症で苦しんでいる人がいると聞く。

原町一丁目街角

原町一丁目はこの交差点の一角を占め、もちろん汚染の渦中にあった。
一帯は小さな町がひしめき合い、原一丁目も御多分にもれず小さい。

楼門

この町に、やはり小さな神社がひとつある。
神社とはいってもご覧の通り、楼門がある。かつては寺だったとのこと。楼門を潜った中に鳥居がある。

天祖神社

そして拝殿。天照大御神(あまてらすおおみかみ)を御祭神とする天祖神社である。
ん〜、小さい!
天祖神社は全国各地に多数置かれているが、伊勢神宮からの御分霊を祀る社であり、その意味では格式が高い。明治5、6年まで神明(しんめい)様と呼ばれていた都内の神社はほとんどが天祖に改称されたというが、この原一天祖神社の場合はその歴史ももはやあまり知る人が少ない。

納められた神輿

浅草宮本卯之助商店で修繕を受けていたここのお神輿が帰って来て、2001年8月25日、その修復引取式があった。
神輿の引取式というのはめったにお目にかかれるものではない。
地元に住まうNHKディレクターの某氏から、デジぶらでも取り上げてみないか、酒も飲めるよ、とご提案頂き、一も二もなくわしらはデジカメとコップを鷲掴みにするやカッ飛んでいったのである。

天祖さまの神輿復活!
新宿原町一丁目 大御神輿修復引取式
スタンバイ中

お昼近く、現場に来てみると、すでに神輿がスタンバっていた。
神輿は神社に入る前に、修復完了の報告と奉納金の御礼ときれいに生まれ変わった姿のお披露目をするために、車に乗せられて町内を巡行する。

大鳥
胴
仕上げ

絢爛豪華な装飾が蘇って、キンピカ!
こうした飾りにもピンからキリまであるが、いずれにせよ安いものでは無い。町内全体の理解と熱意がひとつにならなければこのリニューアルも成し得ない。

入念に最後の仕上げを済ませる。

出発

町会役員、婦人会を先頭にお披露目巡行の出発。

巡行1

巡行2

アップダウンの多い丘陵地帯である。ゆっくり進む巡行の速度にあわせると車は急坂を登れない。

巡行3 町内の人

我が家の前を通る再生なったお神輿を迎える人々。

巡行4 町内の人

右の方は町会役員。ちょっと聞こし召されてらっしゃる。

巡行5

巡行6 先触れ

「御町内の皆様、お騒がせ致しましてまことに申し訳ございません! 原町一丁目天祖神社の神輿が皆様のお陰を持ちまして修復成りましたのでお披露目申し上げまあす!」

巡行7

巡行8 狭い街角

軽自動車でも転回困難なほど狭い街角も。

巡行9

巡行10 見送る人

巡行11 記念撮影

巡行12

巡行13

巡行14 大久保通り

町内を巡り終わって大久保通りに出、市谷柳町交差点に向かう。

巡行15 交差点前

交差点前では、木遣り唄の継承保存実演を行っている社団法人江戸消防記念会の有志の方々が待ち受けている。

木遣り1

神輿の到着を待って木遣りが始まった。

木遣り2

哀愁を帯びた旋律で浪々切々と唄い上げる。その感動的なハーモニーは芸術と言って良い。

木遣り3

写真ではとてもその雰囲気をお伝えできないのが残念。

木遣り4

木遣り集団を先頭に、静々と神社に向かう。

木遣り5

唄は途切れること無く、次々と唄い手を替えながら、時に細く、時に荘厳に、街の家並にこだまする。

木遣り6

木遣り7

天祖神社に入り、神輿の納められる蔵の前でさらに入魂。

木遣り8

神輿を納める

そして神輿が蔵に納められる。
花棒(担ぎ棒)を外し、少ない人数で数百キロの神輿を中腰になって入れなければならないので、この時はちょっときつい。

役員お祓い

拝殿において町会役員達が代表でお祓いをしてもらい、神前に額ずく。

神輿をお祓い

続いて神主さんは神輿蔵に赴き、神輿をお祓い。

神輿のお祓い
一本締

最後は一本で締める。
これで神儀としての神輿の引取式は終わったことになる。

氏子代表挨拶

氏子代表、町会長、来賓と挨拶が続き、乾杯を行って式を締めた後、懇親会へと場は進む。

式包丁

懇親会を彩ったのは、生間(イカマ)流「式包丁」。普通こういう場所で、言っては申し訳ないが、こんな小さな町会の集まりで、式包丁を招いて実演させるというのは非常に希有なことではないだろうか。わたし(satosi)は式包丁のライブは初めて見るが、前から興味もあったので幾らか興奮した気分で舞台脇にカメラを構えた。

鯛

最初のお題は「平安城之鯛」。
ズブッ!!

鯛を捌く

とにかくやはり儀式ごとなのである。一刀一刀簡単には振り下ろさない。5分くらい踊りのような空中演技があってから、おもむろにズブッといく。そのままいくかと思ったらまた空中演技が始まる、って感じ。

水田先生

説明役の水田先生が、ふと気付くといつの間にかマイクスタンドを離れて見学の列のど真ん中に入って写真バシャスカ撮ってたもんねえ!びっくら!

平安城之鯛

完成。「平安城之鯛」。
むろん儀式であって、こんなブ厚い刺身に天皇様がかぶり付いたわけではない。と、信じる。

鯉の演技

もうひとつ、汗だらだらの力演で披露されたのが「四洽(シゴウか?)之鯉」。延々と続く空中殺法から時折ひらめく包丁さばきの下に、鯉はバラされ、

四洽之鯉

こうなりました。シュール! 塩味もOK! こうした形には全ておめでたい意味のある形になっているそうである。

神輿蔵

このあと締めの挨拶、記念撮影などがあって引取式は終わった。駆け足で紹介して来たが、それでも写真枚数が多くなり過ぎた。
 
リンク「例大祭」では、無事天祖神社に戻って来たリニュ−アル神輿の復活の担ぎをご紹介する。ココのところ本業が忙しいので掲載が間遠になってしまい、心より「ご免ね」を申し上げる。

神社のネコ
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